2002年 京都大学・文 第2問 同一平面上の点たち
こんにちは。
今回は2002年の京大の問題を紹介しようと思います。
問題はこちら
私の解答はこちら
さぁ今回はベクトルの問題。
解答を見ればとてもあっさりしていますが、ここにたどり着くのに何分かかるかが問題です。
4点が同一平面上にあると言われたときにちゃんと条件が思い浮かべられるかが大事ですね。
この問題、私は一瞬では解けなかったのですが、解けた瞬間はすごく気持ちよかったです。
こういう考えどころはあるけれどわかれば瞬殺という問題を作れるのはすごいですよね。
ではまた。
不可能性の証明
こんにちは。
今月の数学セミナーを少しだけ読んだのですが、最初の記事が面白かったので、
内容を覚えておくために少しだけ書いておきたいです。
(ざっくりなので間違ったところもあるかも)
「自然数全体の集合Nと実数全体の集合Rの間の濃度を持つ集合は存在しない」
という主張です。
ゲーデルの不完全性定理として、通常考える数学的体系では証明も反証もできないことが知られています。
証明も反証もできない数学的主張があること自体とても興味深いものですが、
まだそれに関して色々な研究がされているみたいで
①連続体仮説が成り立つ世界と成り立たない世界、それぞれで論理が展開されるはずである。
他にも証明も反証もできない主張が無数にあり、それらにより数学世界は無限に分岐するのか。
②証明も反証もできないのは公理が足りないからであり、連続体仮説を証明ないし反証するための採用されるべき自然な公理があるはずである。それはどんなものか。
③NとRの中間の濃度をもつ集合はどれくらい複雑なものか。
などが考えられているようです。
すごく面白そう。こういう数学をやりたかったんだよなぁと思いました。
連続体仮説は知ってはいたのですが、ちゃんと勉強したことがないものの1つで、
いつかやりたいと思っているのですが、何から手をつけていいのか…。
そこら辺のことで取っつきやすい本があれば是非教えてください。
ではまた。
2004年 早稲田大学・政経 第3問 三つ子素数
こんにちは。
今回は2004年の早稲田の問題を紹介します。
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n を自然数とする。n, n+2, n+4 がすべて素数であるのは n=3 の場合だけであることを示せ。
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有名な問題ですね。
学生に「なんで3で割った余りで場合分けするの?」とよく聞かれます。
確かに解答からそれは読み取れません。
この問題を考えるとき、どう手をつけるか。
私ならばまずはよくわからないので、
解答の右に書いてあるような表を作り、
どのような状況になっているのかを見てみます。
そうすると、n=3 の時以外はすべて n+2, n+4 のどちらかが3の倍数になっていることがわかります。
ということはn+2やn+4が3の倍数であることが証明できればOKです。
一般にaの倍数であることを証明するときは、
aで割ったときの余りで場合分けするのが定石です。
なので3の倍数で場合分けをするのです。
この表を書くという実験が解答に載らないので、分かりづらいんですね。
素数は無限個あります。(いつかそれに関する問題を紹介したいです。)
2つの連続する奇素数の組を双子素数といいます。(3と5、29と31とか)
双子素数はたくさんあるのですが、無限個あるのかはまだわかっていません。
(私が生きているうちに解決されるでしょうか…)
この問題を見ると、3つの連続する奇素数は3,5,7だけだとわかります。
でも1組だけだとつまらないので、これを三つ子素数とはいわないようです。
三つ子素数の定義は別にあります。ひねくれてますね。
素数には不思議な魅力があります。
しかしとても扱いづらいので、問題として出てくると恐いです。
震えます。
ではまた。
2015年 奈良大学 第3問 カラスと毒とモンティホール
こんにちは。
今回は2015年の奈良大の問題を紹介します。
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確率の問題は「なんでそんなことするの?」とか
「なんだよその状況!」って問題がかなり多いですが、
この問題は工夫して自然に見せようとしているところが面白いですね。
にしても「そんな状況あるかぁ?」とは思いますが。
さて、この問題は見る人が見ればわかると思いますが、
モンティホール問題を書き換えたものになっていますね。
カラスがDの実を食べたとき、
Mさんにとって食べれないものを1つ減らしてくれたので、
そのままAの実を食べるよりはBCのうちどちらかを食べた方が安全なんですね。
もう少し我慢できるのならば、
もう1つカラスに食べてもらってから
残った1つを食べるといいんですが。
最近、条件付き確率はよく受験で見ます。
モンティホール問題は一度ちゃんと解いておいた方がいいのでしょうね。
ではまた。
2002年 東京大学・文 第4問 赤と青の不変量
こんにちは。
今回は2002年の東大の問題を紹介しようと思います。
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私の解答はこちら
どんな対象に対しても〜であるという一種の不変なものに関する問題です。
高校生にとってはだいぶ解きにくい問題なんだと思います。
なぜ解きにくいかというと何をすればいいかがわかりにくいからです。
この問題は目指すべきことがわかればとても簡単です。
まず、赤赤…赤青青…青や赤青赤青…赤青という並び方のときは
両端の点の色が異なる弧の数が偶数になることはすぐにわかりますね。
なので、適当に与えられた並び方に対して、
一定の変形をして上のどちらかにできないかと考えます。
それには色々なやり方があります。
解答に載せたように入れ替えたり、同一視したり
他にも色を変えたり、抜き取るのもいいでしょう。
その一定の変形によって偶奇が変わらなければ良いのです。
私は赤赤…赤青青…青や赤青赤青…赤青という並び方を目指す
という解答しか思いつきませんでしたが、他にもあるんでしょうか。
ご存知でしたら教えてください。
にしてもこういう面白い問題をよく思いつくなぁ。
何か背景となる問題があるのですかね。
こういう問題を自分でも作ってみたいものです。
ではまた。
2017年 首都大学東京・数 第1問 n乗の展開
こんにちは。
今回は2017年の首都大の数学科の第1問を紹介します。
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さて、今回の問題はそこまで面白味があるものではないですが、
見所は途中に出てくる4乗や5乗をちゃんと計算できるかという部分です。
普通に展開するのは面倒です。
二項定理を使うのも悪くはないですが、
パスカルの三角形を利用するのがベストです。
パスカルの三角形を書いて1番上の段を0段目とすると、
n段目がn乗を展開したときの係数を表しています。
これを見れば4乗や5乗は一瞬で計算できますし、
10乗とかでも少し計算するだけで展開できます。
こういう問題はいかに早く計算できるかが重要なので、
普段から計算力を鍛えたり、いい方法を知っている必要がありますね。
ではまた。
2013年 首都大学東京・理 第3問 区分求積法
こんにちは。
今回は2013年の首都大の問題を紹介します。
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この問題には感銘を受けました。
(2)は形を見ると区分求積法で解くと分かりますが、
0〜1の積分と書き換えてしまうと計算が面倒です。
そこで1〜tの積分と書き換えてみると楽に解けます。
0〜1以外の積分の形に書き換える区分求積法は、
区分求積法の仕組みがちゃんとわかっていないとできないですね。
文字が多くて複雑に見えますが、
グラフで囲まれる図形を長方形たちで近似しているだけなので、
いうほど大したことはないです。
(3)がこの問題の見所。
なんと斜めの長方形で区分求積法を考えます。
Tを普通に求めるとしたらCを積分することになるのですが、
これは普通にやると計算がかなり面倒です。(東進の解答はこれでした。)
しかし斜めの長方形で区分求積法を考えると、
(2)と同じになるのであっという間に計算できます。
(2)に何気なくある√2は何のためにあるのかを見抜けるかですね。
正直、首都大を受ける受験生がなかなか思い付けるものではない気がしますが…。
私も斜めで区分求積法を使うというヒントをもらってやっと解けました。
しかし(3)はなぜSをtで表せという問題にしなかったのでしょうか。
そうしていればすごく綺麗な問題だったのに。
このように普段使っている道具を、変わった方法で使うと上手くいく
というのはとても面白いですね。
ではまた。