受験数学の森

解いて面白かった受験数学の解答、解説を載せていきます

2016年 早稲田大学(商) 第1問 (4) sinの和

こんにちは。

今回は2016年の早稲田の商学部の問題を見てみます。

 

まず、問題はこちら

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私の解答はこちら

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ノーヒントで解くのはかなり難しいです。

早稲田商学部の数学はいつも難易度が高いですね。

文系がこれを解くのかぁ、とよく思います。

 

さて、今回の問題を解くためのポイントは

最初の積和の公式を使った変形です。

なぜ積和の公式を使うのか。

 

例えば、Σ1/k(k+1)を求めるときを考えてみましょう。

1/k(k+1)=(1/k-1/k+1)/2 というふうに部分分数分解をして、

Σを使わずに書いてみると最初と最後以外がすべて消える、

という風に解きますね。

 

Σを計算するときに、このように

f(k)-f(k+1)という形を作るとズバズバ消えて上手くいくので、

この『一個ずれの差』を作ることができれば強力なのです。

 

今回の問題を見たとき、

最後についているsin(π/2016)は何に使うのだろうと考え、

積和を使って『一個ずれの差』を作るためだと思いつけば、

ズバズバ消えるとまではいきませんが、

いい感じの形に変形できます。

あとは解答に書いてある通りです。

 

かなり受験数学に慣れていないと解けない問題ですね。

でも解けたときはかなり気持ちいい問題だと思いました。

 

ではまた。

 

 

 

2017年 埼玉大 cosnθ

こんにちは。

今回は2017年の埼玉大(理)の第1問を紹介します。

難易度はそんなに高くないですが、面白い要素が色々入っています。

 

まずは問題はこちら

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私の解答はこちら

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問題文にあるTn(x)のことをチェビシェフ多項式と言います。

受験問題にもよく現れる多項式ですね。

漸化式を作り、帰納法で整数係数のn次多項式であることを示していくのですが、

その準備として(1)があります。

 

(1)はただ三角関数の和積の公式を使えばいいだけですね。

そう思うと簡単な問題だなぁと思うのですが、

この(1)の誘導がないと(3)を解くのが結構難しいです。

実際大学によっては誘導が与えられてない場合もあるので、

和積の公式を自分の中からいつでも出せるといいですね。

 

(2)はただ2倍角、3倍角の公式が言えるかどうかですね。

 

(3)は存在性を示すので慣れていないと書き方が難しいかもしれません。

〜を満たすものが存在することを示すときは、

〜を満たすものを具体的に見つけてくれば良いのです。

(1)でチェビシェフ多項式の漸化式ができるので、

それを見れば帰納的に整数係数のn次式であることが示せますね。

漸化式が3項間なので前2つを仮定する帰納法であることには注意。

 

ここまではチェビシェフ多項式の問題のテンプレみたいなもので、

その後の問題で大学のオリジナリティが見れます。

 

(4)ではなかなか面白い無理数の証明ですね。

無理数を証明するときは基本的に背理法です。

(3)を適切に使えれば簡単ですね。

 

どうでしたでしょうか。

チェビシェフ多項式、いろんな性質があって面白いですね。

またいつか他の大学のチェビシェフ多項式の問題を紹介したいと思います。

 

では。

 

マイナス×マイナス=プラスになる理由

マイナスという記号は中学1年生の頃に登場し、その際にマイナスとマイナスをかけるとプラスになるということが色々な形で説明されます。

その段階ではされないような説明をしてみたいと思います。

 

(-a)×(-b)=(-1)×(-1)ab

なので

(-1)×(-1)=1

が証明できればマイナスとマイナスをかけてプラスになることが言えます。

1+(-1)=0

という式を満たすのが -1 の定義です。両辺に -1 をかけて

(1+(-1))×(-1)=0

となります。分配をして

1×(-1)+(-1)×(-1)=0

1×(-1)=-1 なので

-1+(-1)×(-1)=0

両辺に 1 を足せば

1+(-1)+(-1)×(-1)=1

前半2つに対して 1+(-1)=0 を使って

(-1)×(-1)=1

となり、マイナスとマイナスをかけるとプラスになることが証明できました。

 

こういう証明って学校でされるのかなぁ。正直自分が中学生の時にどういう風に習ったかは覚えていませんし、どうしてマイナスとマイナスをかけるとプラスになるのかなんて気にしたこともなかったと思います。

ちなみに複素数平面を使えば次のような説明もできます。

 

複素数に cosθ+isinθ をかけるというのは、複素数平面上で原点を中心にθ回転させるという意味になります。

-1=cos180°+isin180°

なので (-1) をかけるということは原点を中心に180°回転させることになります。

したがって(-1)を2回かけるのは原点を中心に360°回転させることになります。

cos360°+isin360°=1 なので

(-1)×(-1)=1

が言えます。

 

複素数平面で説明するとすごく簡単で当たり前のように見えますね。

概念を拡張して考えると低次元のものがスッキリと説明できるというのは数学でよくあることですが、それの代表例みたいなものですね。

 

こんな感じに「これってなんでだっけ?」と考えるのが好きなんです。